わたしの渡世日記 下

高峰秀子 集英社 1976年 第6刷

わたしの渡世日記 下

後半のはじまりは終戦から。自分の過去を「こんがらがった針金の玉のよう」と書き、それを否定するわけでも卑下するわけでもなく「自分という人間が生きた日々を、なんとかして『意義会った日々と思い、納得のいく歴史にしたい』」と、真っ向に組んで生きる女性。ただ美しい人なんていないのだな。美しくなるべくしてなっているのだと思います。このつよさ、凛とした姿勢が美しさになっているのだと。

「わたしの渡世日記」は高峰個人の日記にとどまらず、日本女性全体の渡世日記のような気がする。後半の地位名声が確立した時代に至っても決してそれに溺れていない。女優の虚名に閉口して反撥し反省し生活も質実できらびやかな事は大嫌いだ。そういう彼女の性格はこの一篇にあますところなく描かれている。正直といってこれほど正直な描写はない。

(川口松太郎による帯より)

四六判、360p

価格
300円
状態:
並上。